夜空にランプ
「あの、でも、作業の邪魔になっちゃいますから…」
手に取っていたブックカバーをそっと丁寧にリンコさんに手渡しながら私は遠慮した。
「だーいじょうぶよ、あの子どこでだって集中途切れないから。きっと面白いものが見れるわよ」
何を思ってか、リンコさんはうきうきしている。
確かに製作している塚田君の姿は気になるけれど、きっと、いや絶対に上手く話せる自信なんてない、どうせテンパって終わるだけだ。
そんな拒む私を制して、さっさとリンコさんはアトリエの扉を開けてしまった。
「航基?お客様よー」
「はーい、どうぞ」