夜空にランプ

「ちっちゃくてかわいい…。はぁ…、もう普通に買いたいな、ははは」


家の机に飾った姿を想像したら、もう胸がうずうずしてくる。

思わず手に取って触りそうになり慌てて手を引っ込めた。



振り返ると、黙々と作業をしている塚田君の背中があった。


やっぱり一生懸命製作しているときにやたら声はかけられない。




でも、もう少しここにいたいと何となく思った。





アトリエに広がる独特の木の香りは、木漏れ日が差す森林の中を歩いているように、優しい気持ちにさせてくれる。

本来顔を背けたくなるはずの、ニスやワックスなどの塗料も沢山あるのに、その臭いもほとんど気にならない。


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