夜空にランプ
またピアノの音が風のように運ばれ聞こえる中、遠くなったランタンの小さな橙色の灯りが、ふんわり浮かび上がっているのが見えた。
その灯りに、時折重なる歩く彼の背中。
しゃんとして歩く姿のシルエットは、まるで影絵を見ているようで、不思議と釘付けになっていた。
静かに流れる白い息は、次々とほのかに灯りに滲んでは消えていく。
そんな中でどんどん小さくなる彼の背中は、おとぎの国に帰っていく、一人の登場人物にさえ見えた。
ついキュンとしてしまった鼓動も、確かに胸の奥で鈴の音のように、優しく残響していた。
もう、気のせいなどにはできそうもないほど。
遠ざかる背中を見つめる中、プレゼントが入った紙袋を持つ手は、やっぱりどこか緊張していた。