夜空にランプ
そんな立派な看板犬を撮らずに帰れない。
帰り際、カメラを向けると、ハッハッと舌を出し目を細め、まるで本当に笑っているようだった。
今何時だったっけ。
いつの間にか、写真を撮ることにすっかり夢中になっていた。
ひょっとしたら部活の撮影会の時より本気かもしれない。
カメラのフィルムを巻くと、コマカウンター数があと数枚だけを知らせた。
限られた写真。
今一番撮りたいのは…
そう思って細い路地から見上げた空は、建造物で視界が四角く区切られ、茜色に染まり始めていた。
(ただ、逃げ出してきただけじゃん。何やってんだろう…)