夜空にランプ
このままLampに行ったら、また逃げ場所になってしまうような気がした。
でも、それより家に帰った方がもっと醜い気もした。
だって、誰にも会いたくなかったのだから。
それを選ぶことは容易いこと。
戸惑う自分を急かすように辺りは刻一刻暗くなる。
短く深呼吸してから歩き出し、ゆっくりゆっくり足が向かった先に見えてくるのは、あのほんわかした橙色の灯り。
けれど店内はなぜか暗く、ウェルカムボードは確かに下がっているのだけど、営業している雰囲気が伝わらない。
夜空を彷彿させるコバルトブルーのドア、そこに鮮やかさが際立つ、夜空に浮かび上がる三日月のドアノブ。
かじかむ手を両手でこすりながら、ドアの前で立ち尽くしていた。