夜空にランプ
「千鶴ちゃん、よかったらこれ食べていって。今日のために焼いたのよ。マフィンとパウンドケーキ」
「ありがとうございます。香ばしい匂い…」
カフェスペースに漂うその香りと、優しく穏やかにライトアップされた店内。
じんわりじんわり包みこまれていく温もり。
一口、紅茶のパウンドケーキを食べると、向かいの椅子に塚田君が座った。
片肘で頬杖をつきながらこちらを見てくる。
「うん?」
急に見つめてくる眼差しは、何かを見透かすようで妙な緊張感が漂う。
「おいしー、手作りのお菓子なんてうちでも作らないから、ほっこりする本当に」