夜空にランプ

何をしているのか気になるところだけど、作業中は声かけにくい、それにさっき冷たい態度をしてしまった手前、黙っていることしかできなかった。







「こぐま」


「え?」


しばらくしてミルクティーを飲み干すのと同時くらいに、ふいに塚田君はくぐもる声を発した。


にらむでもないが、どきっとさせる切れ長の瞳で、ちらっとこっちを向き、視線が合うとすぐさま手元に視線を戻した。



「今日、学校早退した?」


「っ…なんで、知ってるの?」


「昼から学校行ったから」


「なるほど。あ、先生とか何か言ってた?」


「さあ。りゅうちゃんは心配してた」


「そっか…」


「その様子じゃ、具合悪くて早退した感じじゃなさそうだな」


「うっ……」



大当たりだ。

その後の言葉はすぐ出てこなかった。




< 262 / 489 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop