夜空にランプ

目は合ったけど挨拶を交わすでもなく、そのまま私の横をすっと通ると自分の席に向かった。


(び、びっくりした…。ま、いっか)


そう思い、再び急いで教室を出ようとした時、今度は聞き慣れない声が耳に飛び込んできた。



「待って」


一瞬誰に向かって言っているのか分からなかった。

この教室には今、私と謎男子しかいないのだけど。


妙に心臓がバクバク鳴った。



「待って」


二度目で私は振り向く勇気をやっと持った。


「…え、何かな?」


そっと後ろを振り向く。
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