夜空にランプ
この日、玉城先輩はどこかよそよそしく、会話はほとんどしなかった。
きっと芽衣子のでっちあげられた噂が耳に入ってしまったのかもしれない。
そうであったら尚更気まずい。
いじめに遭っていることもすでに知っていることになる。
でも、笑えばいつも通りのアイドル級のスマイルは健在。
『大切な部活の場所まで壊したくない。』
胸の中に潜めた声は、とてもとても重い鉛のようだった。
その夜、展望台で撮った写真を芽衣子に送った。
返事は気長に待つことにした。
とは言っても気にならないはずもないが。
電話も考えるけれど、その一歩がなかなか踏み出せないでいた。
とにかく、何もかもが怖かったから。
芽衣子の声を聞くことさえも。