夜空にランプ
血相を変えびくつく彼女から、教室中の視線は一斉に私の持っているものに注がれる。
一瞬何が起きたかわからなかった。
不快な顔をするみんなを見て不思議に思いながら、ゆっくり自分の手に視線を移す。
「えっ……!?」
私が手に握っていたのは、小型のナイフだった。
「は?なにこれ、どうして」
とっさに持ったまま立ち上がる。
「こっちこないで!」
「嫌ー!!」
「おまえ何考えてんだよ!」
「頭おかしいんじゃねーの?」
みんな突然私から離れ、責め立てた。
大勢の視線は、まるで恐ろしいものを見ているよう。それこそ、犯人のように。
この鋭利な刃物よりも、みんなの視線のほうが何倍も恐ろしく感じた。
血の気が引いていき、手がガタガタ震えた。