夜空にランプ




担任に誰か報告したらしく、すぐに私は連れ出され、ナイフは没収された。



クラスの異様な空気の中、あの人達だけは密かににやついていたのは見逃さなかった。





芽衣子がいじめが原因で休んでいることは、担任も把握済みだが、矛先が私になっていることは決して打ち明けなかった。


懇願したのと、誰も被害を受けていないことで、今回のことは担任も見逃すことにしてくれた。


確かに担任は驚いていたが、深く追求しない辺り、学校側としても、警察沙汰にはしたくないということもあったのかもしれない。





教師なりたての、マニュアル通りにこなすだけといった印象のうちの担任。


感情すらないに等しかった。



そんな大人に、誰が助けを求めるものか。






そのまま早退となった、誰もいない通学路。


ナイフを握った拍子で少し切ってしまった薬指を見つめ、強く握り拳を作った。


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