夜空にランプ




――――翌日。

嘘だとは思っていなかったけれど、彼は本当に言った通りに昼前に登校してきた。


自分の席ではなく、大場君の席が空いているのをいいことに、教室に入るなり、すかさずちゃっかりと自分の席のようにして机につっぷした。




「あ!つかちゃんだ!おはよーって、来てそうそう寝るなあ!」


ポカポカ肩を叩く。


「うう~ん、りゅうちゃん邪魔」


「がーん!」



冷たくあしらわれ、めそめそとしょんぼりする大場君はもはや子犬。


このやりとりはいつ見ても愉快だった。





穏やかな日常が、少しずつ戻ってきている、そんな気がした。



(芽衣子がいたら絶対この光景も、ずっと笑ってただろうなぁ)


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