夜空にランプ
学年末テストが迫る頃のこと。
数学の授業が終わり、芽衣子のために取っているノートを大場君に渡すと、しばらくして丁寧に両手でノートを持ちながら返してきた。
それに応じて私も両手で受け取る。
「ありがとうね」
「ううん。これくらい大したことじゃないよ」
にかっと、女子さながらのキュートな笑顔が光る。
「あれ、このシールって」
よく見ると、ノートの表紙の数学と書かれている横に、かわいいリスのシールが貼られている。
「それ?シンプルすぎかなって思って貼っちゃった、えへ」
舌をちょろっと出してポリポリと頭を掻く、漫画の一コマの照れ隠しの王道ポーズ、彼のするてへぺろは本物だった。
「かわいいっ」
(いや、シールもそうなんだけど、つい心の声が出てしまった!)