夜空にランプ
いつも休み時間や放課後にしていたように。
笑い声とともに思い出すのは、あの日、振り返って見せた綿雲の笑顔。
いつもの笑顔のように見えたけど、本当はそうじゃない。
本当は。
「明日、学校行くね」
電話を切る前に、話の流れの中で芽衣子はそう言った。
あまりにも普通に言うものだから、聞き逃してしまいそうなほど。
塚田君の時も驚いたけれど、それとはまた違う。
電話の後、私はもう切れた通話画面をぼーっと眺めた。
そしてすぐに芽衣子の授業用ノートを揃え始めた。
(また悩むなぁ。会ったとき、どんな顔したらいいか、どんなこと話したらいいか)