夜空にランプ








三月に入り、日に日に春らしい陽気になってきた中で、どうもすっきりしない気持ちがいまだに残る。



今のクラスとは別れる。


うちの学校は毎年クラス替えがあるのだ。




こんな気持ちのまま、新しいクラスになるのは嫌な気がした。



また壁を作って、本当の自分を隠して、そんなことをまた繰り返してしまいそうになる。



(せっかくあんなを勇気出しても、臆病で卑怯な自分はなかなかいなくならないみたいだ…)





「あ~もーめんどー。先生今いるかな」


日誌を提出し忘れたことを下駄箱で思い出し、教室へしぶしぶ取りに戻ると、廊下から走ってくる足音がした。



ドアの前に見えた背の高いすらっとした影。

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