夜空にランプ


「ダメだ、これじゃねー。うーん。どこだ?」


(ダメだって、こっちがもうダメだっての。…こんなことでいちいち拗ねるなんて、自分がバカバカしい。でも…)


せっかく付き合えるようになったっていうのに、それだけでもう充分なはずなのに、まだ信じられないことのほうが大きい。

前だったら受け流して、ちょっかい出すなりしてたはずなのに、今はそれさえもためらってしまう。





「…だったらいいなって思ってた。両思いだったらって」


細い声色でひとりごとのように呟く。


「でも、作家として頑張ってる塚田君見てたら、何の特技もない私じゃ、釣り合わないだろうなって。正直ね、遠く感じちゃってたんだ。作家活動とかお店にいる塚田君、びっくりするくらい楽しそうで、本当に尊敬するレベルだし。だから、なんか信じられなくて」


「あ~、めんどくせーなー。何でいちいちそういう風に考えんだよ」


背中を向けたまま呆れたように言う。


「しょうがないじゃん。性格っていうか」



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