夜空にランプ
すぐには返答せず、彼は一度黙りこくと、手で頭をくしゃっと掻きむしり俯いた。
「…そりゃあ、俺だってちゃんと卒業して、店継ぎたいよ。でも…、目の前の現実は、まともな暮らしするほうが先だ。学校とバイト両立させるより、毎日働いたほうが早い。それに、生活費も病院代も、バイトだけじゃ間に合わねーから…」
頭を抱えたまま彼は言う。
もっともな解釈だ。
(私もバイトを…)
と言おうとして飲み込んだ。
それを言ったらきっと、今度は怒らせてしまうと思った。
違う。
そんなことではないのだ。
「全然わかってないって、言われそうだから先に謝る。…ごめん。でもやっぱり、諦めてほしくない…」
消え入りそうな声を振り絞って伝えた、願いを込めた言葉だった。