夜空にランプ
それは、単に彼がいなくなってしまうという寂しさからくる甘えではなく、本当に心からそう思ったから。
どうしても、学校を諦めてはほしくないと。
「…ん。はっきり決めたわけじゃねーから。もう少し考えてみる。そこまでお前が真剣に言ってくれてんだもんな」
留まる時間ができたようで、ほっとして肩の力が抜けた。
「私も、一緒に考える。どうすれば最善なのか」
「おう。ありがとう」
彼はやっと少し笑みを見せた。
今まで見たことのない、何とも悲しそうな、すぐに消えていく笑顔。
私は思わず彼を抱きしめていた。
愛しい胸の痛みとは違う、今まで感じたことのない、チクンと細く伝わる痛みが走る。
きつく彼の背中のシャツを握ると、彼は私の背中をそっと擦った。
彼はもっともっと、痛い思いを抱えているはずなのに、リンコさんと同じ温もりで返してくるのだった。