夜空にランプ
「あ、そうだ!この間みんなで撮った写真、渡しますね」
ずっと渡せずじまいだった、お店の前で五人で撮ったあの写真をリンコさんに見せる。
リンコさんを真ん中にして、みんなでダブルピースをして笑っている。
珍しいことにあの無愛想な塚田君でさえも。
「やー…。写真なんていつぶりかしらね。ちょっと恥ずかしいけど、私も高校生になった気分だったわ。なんて。ふふ。ねぇ、千鶴ちゃん」
「はい?何ですか?」
来るときに買ってきていた500mlのペットボトル2本を、袋から取り出し台に置く。
「航基のこと、よろしくね。あの子、ああ見えてすごく寂しがりなのよ。幼くして両親亡くしてるせいか、物分りが良すぎてね。自分から甘えるってこと苦手みたいなのよ。お店のことだって、率先して仕事してくれて。もっとわがままになってくれてもいいのにって、ときどき思うのよ」
リンコさんは、そっとメガネを外す。