夜空にランプ
リンコさんが転院する前日、Lampの委託作家さん達と私と塚田君で作った、お守りを渡した。
裁縫なんて本当に苦手で、作家さん達に教わりながら、なんとか無事に完成したのだ。
リンコさんの好きなピンクの糸を使い、みんなの気持ちを込めて、真ん中にハートの刺繍を施した。
小さな手のひらにお守りを乗せると、両手で包み胸の前に持っていった。
「本当にありがとうね。びっくりしちゃった。まさかお守り作ってくれてたなんて」
「へへ。みんなの最強のパワーが込められてますから、絶対治ります」
「お前は特に時間かかったけどな」
「…もーお、それだけパワーを込めたんです」
「ふふふふ。頑張ってくれたのよね。ありがとう。本当に心強くなるわ。ね、航基、ちょっと席外してくれる?」
「え?なんで」
「いいでしょ?ガールズトークよ」
怪訝な顔をしてしぶしぶ彼は病室を出た。
私もきょとんとする。
「…まったく無茶なことを決め込んで…。なんとなくそうなるだろうってわかってたけど。千鶴ちゃんと離れ離れになること選んで…」
ぽつりぽつり零し始めたのは、塚田君が決断したことだった。