夜空にランプ

心のどこかでは分かっていた。


芽衣子が本心を語ってくれはしないことを。

心配かけまいとする姿も、きっと芽衣子の本心でもある。




それでも聞かずにいられなかった。

今にも消えそうな芽衣子の柔らかい綿雲のような笑みを見て、何故か自分の方が泣きそうになっていた。



本当のことなんて、きっとお互い知らないことばかりだ。




「鍵、先生に返しに行ってくるね!先下駄箱行ってて」


「わかった」
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