夜空にランプ
中に入ろうとコバルトブルーの色をしたドアに手を伸ばした瞬間、またあることに気がつき、手を止めた。
そのドアノブは三日月の形をしていて、くすみのない黄色は冴え渡る夜空に、くっきり浮かぶ三日月のようだった。
(わー…、入る前からちょっと楽しい。不思議の国に続いてたり…しないかな。なんてね)
ドアに立つだけで絵本の挿し絵にでも出てきそうな雰囲気で、まるでおとぎ話の中に自分が入り込んでしまったような、そんな錯覚さえ起こす。
今までに感じたことのない好奇心はさらにドキドキワクワクさせた。
手のひらより若干大きく、少しひんやりした感触の三日月に、ゆっくり手をかけドアを引くと、リリーンと煌びやかなベルが鳴ると同時に、ドアの軋しむ音が響いた。