【BL】好きになっていいですか?
強引かと思えば、そうじゃない。
「シャワー使ってください。僕はその間に消えますから。」
「え……?」
「鍵はお返ししましたし、もう僕につきあっていただく必要はないですよ。足早に僕は退散します。」
言葉は淡々と紡がれるのに、どうして表情はそんなにも寂しそうなのか。
彼は立ち上がった。
反射的に俺は、彼のバスローブの裾を掴んだ。
「え?」
「あ、いや……」
慌てて手を離すと、彼は再び腰掛ける。
「どうしたんです?」
「その……」
なんだか、このまま帰ったらもう会えない気がして…。
それが何故だか寂しかった。
「また会えるのか?」
「……また、会っていただけるんですか?」
「これきりなんて寂しいだろ?」
小さな声で言ったけど、彼には届いたようで……
至極の微笑みを向けられた。
「そんな顔で笑うな。」
「どんな顔してます?」
「か、鏡見ろ!」
「今は裕理を見ていたい。」
朔弥の手がまた俺の頬に触れた。
「裕理、やっぱりアナタを好きになっていいですか?」
「…勝手にしろよ。」
恋ってやつは面倒だ。
けど、コイツとなら始めてみるのも悪くない……かもな。