たぶん恋、きっと愛
1
出“会”い
まるで、スクリーンの中の登場人物のようだった。
駅前の大通りから20分ほども離れている、この静かな通りは。
半分ほどは使われていないらしく、人通りが無かった。
絶対来てよね、と渡されたライブチケットと、手書きの地図。
それを片手に歩いて来たのだけれど。
それらしい建物も、それらしい人間も、まるで見当たらない。
思えば。
駅を出た時から地図は ずれ気味だったように思える。
土曜18:00開演、と記されたチケットと、バッグの持ち手に繋がれた時計。
すでに開演時刻より30分も、過ぎてしまっている。
…迷っ…た、よねぇ…。
も…いいか、疲れたしお腹すいたし、と諦めた頃。
それは突然、目の前に。
< 1 / 843 >