たぶん恋、きっと愛
「お前、そんな強烈なパニック起こすんなら先に言え」
疲れた様子の凱司が、死ぬかと思った、と深くため息をついた。
「…あたしも、…びっくり、しました」
雷はなかなか遠退かない。
鷹野に抱かれるままに身を寄せながら、時折、雷鳴に合わせて体を震わせる。
「ごめ…なさい、なんだか、すごく…怖かっ…」
いつも一方的に抱きしめられるだけだった雅が、自ら鷹野に身を寄せて。
しがみつくようにシャツを掴んでいる。
「多分、昌也さんの髪の…赤が……赤い…髪が…」
ふいに込み上げたのか、嗚咽を必死で圧し殺し、雅は唇を噛んだ。
「…ごめんなさい」
胸に手を当てて、二度、苦しそうに息をついた雅が、ぴたりと動きを止め、首を傾げた。
「…あたし、何飲みました?」
「……」
すごく熱いんですけど…と深呼吸をした雅に。
鷹野は言葉に詰まり、凱司は思い切り。
目を、逸らした。