たぶん恋、きっと愛




「どうしていつも黙ってる?」


「…話すことなかったし…」



なんの変哲もないプラチナの粒が、耳朶にいくつも見える。


「話すコトもねぇのに2週間も通うのか」

「………」


濡れた寒さで白くなった雅の、唇。


じゃあ、あなたは何をしに来ていたの?と開きかけ、ふと閉じた。


冷たくなった雅の頬に、不意にガイの手が伸びて。

触れられた箇所から首筋にかけて、一気に血は巡り、鳥肌が立った。



「暇な奴だな」

にこりともせず、そうはっきりと発音したガイの顔が近くなって。


唇は。
雅のそれへと。


軽く、ごく軽くだけれども。

…重なった。



 
< 21 / 843 >

この作品をシェア

pagetop