たぶん恋、きっと愛
鷹野は戻らない。
連絡も、ない。
時は既に、23時少し前。
新聞も、取っていない。
「それでなんで俺が山ほど新聞持って来なきゃならないんですか」
「暇だったらでいいって言っただろ」
金茶の髪が、ばらりと顔を隠しているが、口元は昌也によく似ている。
何故だかベースギターまでも背負って来た、佐伯佑二。
昌也の弟、だ。
「すみませんすみませんすみません、ごめんなさい…!」
謝り倒す雅の手に持つのは、大きなスクラップ帳と、ハサミ。
「雅ちゃんの宿題ですか…。つーかほんとに一緒に住んでたんですね」
茶金の髪から覗く目は、やや無気力な感じはするけれども。
可笑しそうに雅を、見る。
「佑二、手伝え。終わらせる」
「ええっ」
不満の声を上げたのは、雅だ。
「明日…明日やるから!佑二さん可哀想だから!」
半ば必死で、懇願する雅の。
見上げてくる視線を無視した凱司は、新聞の束から一部抜き取った。
「…なんの記事集めんの?」
佑二は。
哀れむように、しょげる雅の肩に、手を置いてそう聞いた。