たぶん恋、きっと愛
おかげで、というか。
朝日がのぼり始めた頃、痛み止めの効果が切れ始めた事に真っ先に気が付いたのは雅だった。
いきなり起き上がり、わずかに息が上がっていた鷹野の首筋に手を当てると、何も言わずにキッチンに向かったのだ。
「雅ちゃん、大丈夫だよ」
「だめ」
小声でする会話は、傍でうとうとしていた佑二にも、聞こえていて。
お湯を沸かす音がする中、雅が慌ただしく保冷材をくるんだものを鷹野の脇腹付近に置き、再びキッチンに戻ると、何度か冷蔵庫を開けた。
「起きれますか? サンドイッチ作ったから、少し食べて、薬飲んで?」
「ん、大丈夫。ありがとう。…佑二、起きてんだろ? 一緒に食ったら?」
お湯の沸く間に出来上がった食事は、佑二の想定を越えた、きれいなものだった。
「熱、出たんすか?」
「うん、そうみたい。ちょっと寒い」
大丈夫だけどね、と笑顔を作る鷹野が、薬を飲み込むのを待ってようやく。
雅は安心したように息をついた。