たぶん恋、きっと愛
「あー、きっと雅ちゃんが怖がると思って言わなかったんだとは…思うんだけど………」
1.5cm幅に切られた緑色のパウンドケーキを小さく口に放り込んで、わりとすぐにコーヒーを流し込んだ鷹野は、佑二に目を向けた。
「あっさり言っちゃえば…ちょっと度を越した兄弟喧嘩」
フランスパンに挟まった、小海老や卵が和えてあるサラダをフォークで掬い出しては口に運ぶ。
「兄弟喧嘩!? …兄弟いたんですか」
それも三回ほど飲み込むと、鷹野はフォークを置いて、オレンジジュースに手を伸ばした。
「うん、馬鹿な兄貴がひとり。…やっぱり轢いときゃ良かったんだよなぁ…」
後半を独り言のように呟くと、コップの3分の1ほど注いだオレンジジュースを流し込んだ。
「ごめん雅ちゃん、すぐ薬効くから、そしたらちゃんと食べる」
傷も、薬が切れて痛むのだろう、雅に向ける笑顔も、どことなく硬く、ぎこちなかった。