たぶん恋、きっと愛
「あれ?凱司?」
早かったじゃないか?
こんな雨ん中どこ行って……た…ん……
玄関から真っ直ぐ突き当たりのドアから。
黒い長い髪の男が顔を出して、一瞬、硬直した。
黙ったまま近づいた彼は、やっぱり無言のまま、まじまじと雅を見下ろす。
「…凱司……?コレ…は…犯罪だよ?」
艶やかな黒い髪は背の半ばまで辺り。
瞳の部分の大きな、濃い睫毛に縁取られた、目。
その目が面白そうに、雅を見下ろす。
どことなく滲む、妖艶な匂いに、再び湧き上がった非現実感。
雅は。
玄関に立ち尽くしたまま、黒くてキリリと引き締まったその、妖艶な男の、眉が。
セクシーだと、思った。