たぶん恋、きっと愛
「いま、ですか?」
突如現れた宇田川を見上げ、雅は目を丸くした。
「ええ、急なので私1人でもいいんですが…雅さんもお会いしたいかと思いまして。ご一緒しませんか?」
柔らかく笑む宇田川の髭に指を伸ばしかけた雅が、はっとしたように手を引っ込めた。
「あ、はい。行きたいです!ちょっ…ちょっと待ってくださいね! えっと、2分!」
照れを隠すように笑う雅に、宇田川もにこやかに頷いた。
閉められたドアの外で、宇田川は一歩下がり、この先のスケジュールを頭の中で確認した。
本当は凱司に頼もうと予定していた為に、多少のズレが出てくる。
全ての予定が、電話ひとつで先伸ばしに出来るものばかりなのを確認すると、時間を見た。
今、出れるならば、全て間に合うだろう。
休憩を含めたルートをも頭の中で組み立て終わった頃、制服を着た雅が、ドアを開けた。