たぶん恋、きっと愛
「いいか、よく聞け」
体を半分起こした凱司は、雅を真っ直ぐに睨む。
「男の素肌に、触るな。刺青を見たがるな。見せてやるからとか言われてどっかに連れ込まれたんじゃ、俺が拾った意味がない」
そのうち出来る、惚れた奴にだけにしとけ。
それも無理なら、いずれ…抱いてやっても、いい。
と、続けた凱司を。
雅は黙って見つめていた。
「今日、お前の実家に行ったよな?実印貰いに。何でだか、聞いたか?」
ううん、と首を振った雅だが、でもなんとなく解る、と呟いた。
「あれが通れば、お前は18になるまで、宇田川の養い子になる。高校出るまでの期間、問題なく過ごせる筈だ。鷹野ん時も、そうした」
「養子縁組み?」
「いや、里子だ。お前の父親から、一時的に、だけど正式に宇田川が預かる」
指は、雅に伸びる。
その頬をつねるように撫で、凱司は、急に眉間のシワを深くした。
「…ちっ…来んの早ぇな」
むくりと起き上がり、ドアにアザラシを投げ付ける。
どんっ、とドアが鳴り、少しの間の後、ノブが下がり開いた。