たぶん恋、きっと愛
「何しに来た。邪魔だ」
「いえ、あの…やはり」
立ち尽くしたようにも見えた宇田川の足元に、鷹野の手が伸び、落ちていたアザラシのぬいぐるみを拾い上げた。
白いアザラシは凱司に投げ返され、鷹野は無言で、部屋に踏み込んだ。
続いて一礼した宇田川も、真顔でベッドに近付く。
「申し訳ありません。やはりまだ、可哀想に思い直しました」
ベッドサイドで深く頭を下げる宇田川に、凱司の不機嫌そうな視線が刺さる。
「お前は何を言いに来た」
次いで鷹野を睨む凱司に、鷹野は怯むことなく、ベッドの真ん中に座る雅の手を取った。
「…待って、欲しい」
「待ったところで雅は理解しやしねぇよ」
誰も笑わない張り詰める空気に。
どうやら、何か勘違いをしているような彼らと。
その勘違いをわかっていて正さない凱司とに。雅は俯き加減に、唇を噛んだ。