たぶん恋、きっと愛
「…“死なない”が凱司さんの“大丈夫”基準…? やだ、全然信用できない…」
鷹野さん怪我した時の“大丈夫”だって、大丈夫じゃなかったもん…、とぶつぶつ呟く雅を、厭そうに見た凱司は。
雅の前にあるチェリーパイを掴んだ。
「ああっ!!」
がぶり、と一口かじって皿に放り投げるように残りを戻した凱司は、唇を親指で拭う。
「生爪剥がしたくらいでガタガタ言うな」
「ああぁ…」
「み…雅ちゃん…俺のと替えてあげるから……泣かなくても」
ほんのりべそをかきそうな雅をなだめるように鷹野は笑う。
「…甘い。雅、コーヒー」
「うわ、すげぇ傍若無人」
うう、と涙を拭く振りをしながら立ち上がった雅は、それでも、鷹野さんもコーヒー要りますか? と、首を傾げて訊いた。
やっぱり、借金を完済するのは先がいい。
ここにいて、笑っていたい。
鷹野は、紅茶まだあるから、と首を横に振り、甘やかに目許を和ませた。