たぶん恋、きっと愛
ひとりで居たらいけない、と全身が叫ぶけれど、雅の体は動かなかった。
こんな朝早くに、すがっていい人などいない。
「……大丈夫っ…!!」
気合いを入れるように呟いても、泣き腫らした目は重く頭を締め付けた。
「…頭…痛い」
なんでこんなに泣いたんだっけ?
いつ、泣いたんだっけ?
「なんで…こんな辛いの…」
大丈夫なのに。
あたしは、大丈夫なのに。
大丈夫。
平気。
関係ない。
好きなんかじゃ、ない。
凱司さんも。
鷹野さんも。
好きだけど。
好きなんかじゃ、ない。
ただ、少し。
甘えていただけ。
あたしは、好きになんかなっちゃいけないんだから。
震える指先を、ぎゅっと握り、雅は明るくなった空を見上げた。
「…大丈夫」
それでも雅は、ひどく疲れたようにベランダの壁に寄りかかったまま、呪文のように、小声でそう、繰り返した。