たぶん恋、きっと愛
「…………なにしてる?」
突如、頭上から声が聞こえた時も、雅は自分とは無関係だとばかり思っていた。
だからポニーテールにした髪を掴まれ、無理に上を向かされた事に、無抵抗ながら、驚いた。
「……水…乾くの見てました」
ぼんやりと答えれば、ますます寄せられた眉間。
「凱司…放してやれって」
苦笑する声と、黒い目にドキリとした。
「…あ…、お金」
「金?」
「キスじゃダメなので…お金」
「……ほんっとうに脈絡ないよな、お前」
「雅ちゃん、こんなとこ座ってなにしてるの?」
鷹野がしゃがみこみ、雅と視線を合わせて微笑む。
「友達が、…ライブするんで、待ってるんです」
「あぁ、そなんだ?何番目?」
「…え?」
順番なんか聞いていない。
「……バンド名は?」
「……………えぇ…っと…」
「お前………」
さすがに凱司までもが苦笑する。
雅の手からペットボトルを抜き取り、勝手にひとくち飲むと、ぺんっと。
雅の頭を叩いた。