たぶん恋、きっと愛
「俺ら最後だから、終わるまで待ってなよ。打ち上げするし。ごはん一緒に食べよ」
「鷹野さんも、今日ここでやるんですか?」
鷹野はにこやかに雅の頭を撫でて頷いたけれど。
凱司はふと動きを止めて、ペットボトルを雅の膝に投げ入れた。
「………今日は金曜だな。お前、今日は家帰れるのか」
「……か…えれ……る」
うん、帰れます。と笑いながら目を逸らした雅に、凱司は勿論、鷹野までもが肩を竦めた。
「お前……馬鹿だろう」
「今日はパジャマ買って帰ろうね」
雅は首を横にぶんぶん振る。
「どこででも寝れるし。夜寒くないから大丈夫です!」
「寒…く…?……お前…ほんとに馬鹿なんだな…」
「ごめん……俺もそう思っちゃった…」
「でもっ…でもね…」
急に心配そうな顔をした雅は。
「あたし…、そんなにお金ないし…何もしないのに泊まれない、です。…凱司さん、あたしに興味、ないでしょう?」
と。
凱司と鷹野とを見比べて、小さな声で、そう視線を落とした。
「……金だ興味だ……」
続けて何かを言いかけた凱司は、ぎゅっと口をつぐみ、もう一度雅の頭を叩くと、結局何も言わないまま。
ライブハウスの中へと、立ち去った。