たぶん恋、きっと愛



「…あー…雅ちゃん?」


困ったような静かな声に、おそるおそる顔を上げる。



「……あいつにヤられたい訳じゃ…ないんだろ?」


「……うん、でも…みんなそうだから…」

「みんな?」



穏やかな声は、穏やかなまま。

だが吸い込まれそうな黒い目が、雅の視線がさ迷うのを赦さない。



「どこの、誰が?」

「…しらない」



沈黙が、苦しい。

端から見れば見つめあったままの二人だけれども。
雅は逸らせない視線を外したくて、ぎゅっと目を閉じた。




「……じゃあ、泊まる話は一旦忘れて」

ぽん、と頭を撫でられ、雅は目を開けた。


「今日は一緒にごはん食べよ。だから、ライブ終わるまで待ってて」


にこやかな鷹野から漂う威圧感は、凱司のあからさまな威圧より何故か遥かに恐ろしくて。

雅はただ、頷いた。


 

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