たぶん恋、きっと愛



雅は。

自分でも、まともに生活していない自覚はあった。

間借りしている従姉の部屋に彼氏の来る日は、友達の家に泊めて貰うと嘘をつく。


入学当初は泊めてくれるような友達がいるはずもなく、繁華街をうろついた。

ゲームセンターにしてもネットカフェにしても、ファーストフード店にしても。

深夜にひとりでいる少女に差しべられるのは、補導員の手と、優しげな顔をした、獣の手。


雅が体を投げ出すときに、嫌悪感と罪悪感を押し殺す事に馴れるのも、時間の問題だった。


大したことじゃない。
ただ、少し乱されるだけだ。


その優しげな顔を、信じてはいけない。

頭の何処かで投げ出した体の何がそんなに良いのか、はかり兼ねる時がある。
ただ、男とはそういう生き物で、食事や寝る場所を提供してまでもしたいことなのだと。

そう理解した。




いつの間にか増えていった、壱万円札。




雅は、いつもそれを大事にしまい込み、嘔吐した。



 
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