たぶん恋、きっと愛


友典は、戸惑っていた。


何故、泣く?
何故、謝る?

噂を封じようと、確かに手を出したが、殴りはしなかったのに。



「……すみません」


小さく呟いた友典の指が、再び涙を拭う。

雅は、自分を知らないのだ。
自分も、雅を知らない。


ただ、守ればいいとだけ思い、消したがる噂を、消した。

報告もせずに。



「……心配…させたんですね」


わざわざ、来にくいだろう教室にまで出向いて、謝らなければならないと思わせる程に。


思えば、父はよく凱司に連絡を取り、指示を仰いでいる。

自分には、それが足りなかった。



「……泣き止んで」

背後の好奇の視線など、どうでもいい。

今はただ、誤解を解いて、涙を止めて貰わないことには、父にも凱司にも、報告できない。
 



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