たぶん恋、きっと愛
綺麗に整った、リビング。
植物の置いてある、カウンターキッチン。
テーブルの上に、煙草と、白い陶器の灰皿。
モスグリーンの、低いソファー。
高さのある、ドア。
ここに入るのは、初めてだ。
凱司が決めたのか、父が決めたのか、ごく限られた人間しか入れない、まだ新しい家。
友典は、ぐるりと部屋を見回すと、コーヒーを淹れ始めた雅で視線を止めた。
制服のまま、ポニーテールを揺らす雅はやっぱり幼くて、凱司には似合わない気がする。
あれで、凱司を満足させられているのか、などと、つい下世話な心配までしてしまった友典は、じっと自分を見つめていたらしい凱司の、青みがかった灰色の目とぶつかった。
「お前も雅と同じだな。考えてる事が目に出る」
「………は」
「俺があいつを構うのを、納得いかねーって目だろ、それ」
苦笑混じりに煙草を手に取った凱司に、友典は慌てて目を逸らした。