たぶん恋、きっと愛


友典を連れて帰ろうとした宇田川を、凱司が止めた。


「なんだ、この事だけの為にお前ついて来たのか」

てっきり、別件のついでかと思った、と笑う凱司に、宇田川は穏やかに笑んだ。


「場合によっては必要かと思いましたから」

「…俺がガキ共に何かするとでも?」

「雅さん、ですからね」


意味ありげに笑う宇田川に、素直に、まあな、と呟く。



「雅から持ち掛けた話じゃなかったら、蹴ったろうな」


ただの恋愛ならば構わない。

だけど、意味のない、拘束にしかならない、恋愛の真似事なんか。



「ただの恋愛なら、構わないんですか?」


畳み込んできた宇田川に、凱司は、玄関先で友典に何かを話し掛けている雅に視線を向けた。



「そりゃ雅が惚れたっていう時は仕方ないだろ」


それは…そうかも知れないが、と宇田川も頷いた。

確かにそう、なんですが、と眉を寄せて髭に手をやる。


今まで見たことのない色を浮かべる凱司の目が、僅かに苦しそうで。


どことなく…飢えたようにも見える事に、宇田川の眉も寄せられた。
 


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