たぶん恋、きっと愛
同級生と先輩のバンドは、半分以上はコピーだった気がする。
少し前に売れた、歌。
正直、さっき始まった鷹野と凱司たちに圧倒されて、彼らの印象はすっかり掠れてしまって。
とてもラフな格好で、リフから始まったギターは、鷹野。
重なるようなドラムスに、上半身裸の、凱司がいた。
出番を終えて、一緒に見ていた雅の先輩は。
自分と同じ楽器を持つ鷹野の指先から視線を外せないまま、雅の耳元に顔を寄せた。
「これが、見たかったバンド?雅、こういうの好きなんだ?」
と言われても、雅にはよくわからない。
正直、それどころではなくて。
キラキラと照明に輝く鷹野の髪と、凱司の髪。
時おり、自分を睨み付けるような凱司の視線に、恐怖にも似た、肌の粟立ちを感じる。
先輩は相変わらず雅の耳元に口を寄せている。
「なあ、知り合いなのか?ギターの人、ずっとこっち見てる気がする」
照明が明るくて、客席は見えにくいんだけどな、と続けた先輩に、おそるおそる鷹野に視線を移した。
「………っ」
目が、合った。
絶対に、目が合った。
微かに唇の端を上げ、うっすら笑った鷹野があまりに綺麗で。
今度ははっきりと、怖くなった。