たぶん恋、きっと愛



…蛇?龍?


3つ目のタブレットをつまみ上げて、口に入れようとした、時。

不意に角から現れた、顔色のあまり冴えない1人の男。

男は真っ直ぐに、金髪の彼に近づいて。

ちらりと、少女を見た。


ガイさん、あの子…?
と、聞こえた気がして初めて。

金髪の彼の写る写真には、自分もいたのか、と、僅かに慌てた。


金髪の彼は、それでも少女を見ないまま。


赤い、煙草の箱を男に押し付けて。

代わりに、輪ゴムで止まったような現金を受け取り、ポケットにしまい込んだ。


その時にちらりと。
上げた腕の内側に、蛇のような、龍のような刺青、が。



多分、彼は良からぬ取引をしている。

テレビでしか見たことのないような、何か悪い事を。


 
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