たぶん恋、きっと愛


「雅? ほんと元気ない。具合悪い?」

俯いて、今にも泣きそうな顔の雅を覗き込めば、雅はびくりと体を震わせた。


「あ……ごめんなさい…大丈夫。先輩は、打ち上げ行ってください」

一歩後ろに下がって微かに笑んだ雅のすぐ後ろ。

開いたドアから。

ドラムスティックを指先でクルクル回す金髪の男が、現れた。



「あ…の、ほんと…行ってください。あたし、さっきの人たちに言わなきゃならない事が…」


かっこよかったです、とか。
次はいつやりますか、とか…

い、刺青は蛇ですか、とか…!




しどろもどろになっている雅のすぐ後ろ。
壁に寄りかかった凱司は、ドラムスティックを回している。




「……蛇だったろうが」

「ひぁっ…?!」


「み…雅?大丈夫か?」

よほど驚いたのか、ペットボトルを取り落としたまま、振り返りもしない、雅。



「…全部見たろ。全身くまなく。隅々まで丹念に」


「…ぜ…全部じゃ…!」



 
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