たぶん恋、きっと愛

腰から上しか…!と振り向かないまま、口走る。



「お前………」


よりによって反論はそれか、と、凱司が珍しくはっきりと笑った。


「もういい」

くくく、と笑いながら雅の頭をくしゃりと撫でた。



「で、そいつ、お前の男か?」

凱司は。
何故か顔を赤くして成り行きを見ているしかなかった先輩を見やる。



「え、状況よくわかんね…んですけど」

「こいつにメシ食わす約束してたんだわ」


「そんな約束してな……」

「決定権、俺」


雅の耳に口付けるほどに背後から顔を寄せて。

ささやいた凱司の視線の先は、戸惑うばかりの先輩の目。




「悪いな、“センパイ”」




耳元に感じる体温と声とに。

すっかり硬直した雅は、我に返る間もなく。

行くぞ、と。


くるりと、体の向きを変えられた。



 
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