たぶん恋、きっと愛
「雅ちゃん?雅?俺ら呼び捨てOK?」
連れてこられた居酒屋で。
雅はそう訊かれて、頷いた。
昌也と佑二にかわるがわるビールを注がれ、目元が染まってきている。
「はい、大丈夫、です」
くるりと周りを見回した雅が、首を傾げた。
「…もっと、他の人、いると思いました」
顔色の割りには酔いが回っているのか、雅は昌也の顔を覗き込むように見上げた。
「たまには静かに打ち上げしようかと思って」
「……鷹野さん、は?」
「ああ、なんか買う物があるとかで、さっき出ていったよ。すぐ戻ってくるんじゃないかな」
「お前、酒飲めたのか」
斜向かいに座っていた凱司が、やや心配そうに聞いた。
「ん~…多分」
「多分かよ……つーかなんか食わねぇと酔うぞ」
メニューを手渡す凱司を、まじまじと見つめて、雅は急に不安そうに。
凱司とその隣に座る佑二、自分の隣の昌也とを、見比べた。
「あたし、今日、‘ガキ’ですか?」
「え?」
昌也と佑二は不可解な顔をしたけれど。
凱司は黙ってメニューを開き、雅の前に押し出した。
「ガキは大人しく食っとけ。余計な心配すんな」
凱司の眉が明らかに不機嫌そうに寄せられた事に、雅は。
僅かに首を傾けて、小さく息をついた。