たぶん恋、きっと愛
「…お前、なんで吸い差しばっかり…」
新しいの吸えよ…、と微妙に論点をずらした凱司は。
残りわずかな煙草を迷わず口にする鷹野を、引いた目で見やった。
宇田川の咎めるような目は、息子に注がれる。
この微妙な空気は、いかんともし難い。
息子は自覚があろうと無かろうと、嫉妬に近い思いを抱いたのだろう。
不憫でならない。
このまま、傍に置いて良いものだろうか。
どこかで、踏み止まれずに傷付けてしまったら…?
凱司が大切に思っているだろうひとに…恋するような結果になってしまったら…?
あの娘に恋をした所で、成就するとも思えないし、友典では、凱司はおろか、鷹野にすら勝てる気はしなかった。
「宇田川」
呼ばれて、はっと目を上げた。
金色の髪の、青のちらつく瞳。
「手出し無用だ」
わずかに苛立ちを浮かべはしているものの、思考を読んだかのような真っ直ぐな目に、宇田川は苦し気に目を伏せた。