たぶん恋、きっと愛
雅の教室に現れた友典は。
その姿が見えないことに、眉をひそめた。
「おい」
廊下側に席のある田鹿に、須藤雅はどこだ、と低く訊く。
「え?トイレとかじゃ…ないんですかね?」
友典は動きを止め、田鹿から目を離すと、黙り込んだまま、一言も会話をすることなく別れた、朝の雅を思い出した。
ざわざわと、ランチタイムのざわめきは、なんとなく、友典に不安な予感を持たせる。
「あ、宇田川先輩、ココ、大丈夫ですか?」
廊下から教室に戻って来た加奈子が、自分の頬を指すのをちらりと見やり、返事をする気もないのか、目を逸らす。
加奈子を含む女子の集団。
友典は、ふいに加奈子の肩に手をかけた。
「雅、さんは…トイレに?」
「えっ? いなかった、と思いますけど。一緒じゃなかったし。教室にいませんか?」
いないから訊いている、と友典は舌打ちすると、ぐっと増した不安感を抱え、足早にその場を後にした。
どこに行った。
クラスメイトが知らないならば、職員室に呼び出されたとかでは無いのだろう。
…どこだ。