たぶん恋、きっと愛
「…鷹野さん、早く…やりましょう?」
気まずい甘さに頬を赤くしたまま、自分のシャツを直す雅に、鷹野は我に返った。
「え、あぁ…そうだった」
ビニールに包まれたそれは、半分に折り畳んで、ポケットに突っ込んだ。
誘った時には、ここでこんな甘く受け入れられるとは思わずにいたから、つい忘れていた。
「一個、貰ったんだ。うちのスタッフに」
ちょっとしかないから、あの兄弟いない間にやろうと思ったんだけどさ。
ピリピリ、とビニールの接合をはがし、細長い、紙のピンク色を取り出す。
2つに折り目のついた、くの字の、線香花火。
指先で折り目をなぞり、鷹野は水の入ったコップと、ライターを並べると、たった5本の線香花火を、雅の手に乗せた。